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脳科学・神経科学を網羅的に学ぶ必読書

カンデル神経科学

カンデル神経科学は、脳科学・神経科学分野のバイブル的存在。2014年4月に日本語版が出版され、英語や医学用語が得意でない方にも大変読みやすくなりました。脳科学、神経科学について学ぶなら絶対に持っておきたいおすすめの一冊。

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デジタルクローンは、自分ではなくあなたの大切な人のために遺すもの

もう10年以上経ちますが、 ヴァーチャル・バラエティ「マスクマン!」という日本テレビ系列の番組で、「亡くなった家族やペット、過去の自分と会話をする」異人たちとの夏という企画がありました。

テリー伊藤のヴァーチャル・バラエティ番組「マスクマン!」

番組ウェブサイトのインターネットアーカイブによると、下記のように書かれています。

顔を隠すことで、世の中みんなをハッピーにしちゃおう!という視聴者参加型マスクバラエティー。最新のコンピューターシステムによるCGマスクを使って、あなたの恋愛から人生相談、一生に一度の思い出作りまで、この「マスクマン!」がすべて引き受けます。

  • 日本テレビ系列で放映。
  • 2002年4月6日(土)深夜1時20分スタート!! ※通常:深夜0時50分〜1時50分
  • 司会:テリー伊藤、中島知子(オセロ)
  • 2002年夏頃に“異人たちとの夏“が放映された。
  • DVDは未発売。

「異人たちとの夏」が示したココでしかできない体験

椅子しか置かれていない真っ白な空間に一人のゲストが座ると、正面のモニターにはCGで作られた亡くなった相手の顔が現れ、話し始める…

私の記憶ではポリゴンで作られた3Dモデルのようなものだったと思いますが、ゲストにとっては”もう会えるはずのない人が登場し、彼らと実際に会話ができる“体験がとても新鮮だったようです。

もちろんテレビ&役者さんですので演出もあるかと思いますが、毎回登場するゲストの反応がとても興味深い。モニターに亡くなった相手の顔が映るとものすごく動揺したり、会話を続けていくにつれ、ゲストの脳裏には様々な思い出の記憶が蘇っているんだろうなという様子は視聴者目線で見ていても、とてもリアルでした。

CGキャラクターとの会話自体は、自然言語処理音声認識といったAI技術を使ったものではなく、(おそらく)事前リサーチを元にしたナレーターや声優の人力による裏方的な対応なわけですが、それでもゲストに与える体験のインパクトは非常に大きかったと思います。(エンタメ分野で言えば、東京ディズニーランドにあるカメと会話するアトラクションが近いです)

ほとんどのゲストは始めは信じません。最新の技術だかなんだか知らないが、どうせ子供だましのただのおもちゃだろう、と。疑心暗鬼だったり、あからさまに馬鹿にした素振りをする人もいる。しかし、段々と会話が進むにつれ、毎回ゲストは号泣に近い状態に。テレビがここまで出しちゃっていいのかと思う程、人間の素の部分というか、感情がむき出しになった人間行動は当時の私にとって、とても衝撃的な映像でした。

そして、対話が終わってみれば、皆一様にとても晴れ晴れしたような顔をしている。私は体験したことはありませんが、きっとイタコやセラピーの体験に近いのかもしれません。

人生にはどうしても避けられない出来事がある

人生には否応にも避けられない悲しい出来事というのが、少なからずあります。特に身近な人の死という不可逆的な変化は、遺された人々にとって非常に大きな心理的負担を強いるものです。遺族のその後の人生に苦難が起こったとき、遺族は、

「あの人だったらこんな時に何というだろう、どうするだろう? あの人が生きていてくれれば…」

と状況の改善を故人に願うこともあるでしょう。失った人が父親や母親の役割を持つ家族の大黒柱であれば尚更、です。

デジタルクローンの意義というのは、「ライフログを提供する自分自身ではなく、自分の周辺にいる遺された大切な人に対するもの」としての価値が大きいんだろうなと思います。遺された人からすれば、ある種のタイムマシンというか、忙しい日常生活で忘れ去られた昔の記憶を思い出すきっかけを与えてくれるようなものなのではないかと思っています。

自分のためではなく、大切な人のために

利便性や実利を優先し、労働者にとっては脅威と捉えられている側面もある2015年のAIですが、人の心を癒やすためのAIという道もまだまだ残されています。資本主義経済でまわる現在の世界において、効率性や利便性はとても重要なものであることは決して否定はできません。しかし、同時に、安心・安全・平和・癒しといったものを日常の生活で与えられる人工知能があってもいいんじゃないかと思います。

争いではなく、協力のために。

異人たちの夏、もう一度見たくていろいろ探したのですが、DVD化はされていないようでした。あれからもう13年が経ちますが、機会があればぜひもう一度見たいものです。

きっと2015年の今、日本でなら実現できるはずです。

参考

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