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脳科学・神経科学を網羅的に学ぶ必読書

カンデル神経科学

カンデル神経科学は、脳科学・神経科学分野のバイブル的存在。2014年4月に日本語版が出版され、英語や医学用語が得意でない方にも大変読みやすくなりました。脳科学、神経科学について学ぶなら絶対に持っておきたいおすすめの一冊。

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海馬

海馬体(hippocampal formation)

海馬

  1. 海馬は、もっとも発作閾値が低い脳部位。
  2. 海馬は、虚血や無酸素状態に非常に弱い。
  3. 海馬は、ほかの大脳皮質(Cerebral cortex)システムのモデルになっている。
  4. 海馬体の各部位を一方向につなぐ特徴的な回路「三シナプス性回路(trisynaptic circuit)」。
  5. CA3領域再帰回路は、連合記憶を可能にする基本構造(Kohonen, 1978)である。「パターンコンプリーション仮説」
  6. 海馬がどのようにして、パターン補完(情報の統合)とパターン分離(情報の分解)を行なっているかは、これまでのところ不明。

「パターン補完」と「パターン分離」

パターン補完

  • 記憶を呼び起こすとき、たいていは何かがきっかけ。
  • 例えば、電話で声を聞いただけで「○○さんからだ」とわかる。下手な文字でも読めるし、手前の樹木で一部が隠れていても看板の字がわかる。脳は「情報の断片から記憶全体を復元する」。これを「パターン補完」と呼ぶ。
  • パターン補完のプロセスはほぼ自動的に行われている。
  • 過去の記憶が多ければ多いほど、また経験が豊かであればあるほど、うまくパターン補完ができるようになる。

パターン分離

  • 記憶がさらに積み重なると、今までわからなかった微妙な違いに気づくようになり、「見分けの能力」が芽生えてくる。
  • 例えば、双子の兄弟が区別でるようになり、マネとモネの絵やショパンとシューマンの曲も区別できるようになる。このように小さな差異を区別する能力を「パターン分離」と呼ぶ。

シナプス可塑性

  • シナプス可塑性とは、「特定の刺激によって、シナプス結合の強さが強まったり弱まったりする」現象のこと。

情報の統合と分解の制御

  • 同時入力」が繰り返されると、“情報を統合する“方向に組織構成が変化する。
  • 時間差のある入力」が繰り返されると、”情報を分解する“方向に組織構成が変化する。
  • 日常の例としては、姿と声を同時に体験することが繰り返されると(同時入力)、声だけでその人を思い出すことができるようになる。
  • 互いを交互に見比べることを繰り返すと(時間差入力)、双子の差がわかるようになる。
  • つまり、このシステムは、入力の時間と情報数に依存するシステムである。短い時間でたくさんの情報が入力された場合、それらを効率的に処理するために情報の統合を行うが、一定時間内の情報入力が少ない場合には、より詳しく認識しようとするのではないだろうか。
  • これは、生物としてこの世界で生き残るためには、非常に合理的なデザインになっていると思える。
  • 生物にとっての至上命題とは、「外部環境の変化に適応すること」なのだろう。

海馬とは

  1. 海馬回路には、多様な論理演算子が存在している。
  2. 海馬回路は、AND素子などを用いた並行分散型の情報処理を行っている。
  3. 海馬は与えられた入力に応じて、”自らシステム内部の構成及び機能を変化させる性質“を持っている。
  4. これが、人間が持つ外部環境の変化に適応する環境適応能力の源であり、学習を通じて、自らを変化させる学びそのものなのだと思う。

参考資料

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