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脳科学・神経科学を網羅的に学ぶ必読書
カンデル神経科学は、脳科学・神経科学分野のバイブル的存在。2014年4月に日本語版が出版され、英語や医学用語が得意でない方にも大変読みやすくなりました。脳科学、神経科学について学ぶなら絶対に持っておきたいおすすめの一冊。
カンデル神経科学は、脳科学・神経科学分野のバイブル的存在。2014年4月に日本語版が出版され、英語や医学用語が得意でない方にも大変読みやすくなりました。脳科学、神経科学について学ぶなら絶対に持っておきたいおすすめの一冊。
未分化な状態とは、極論すれば、増殖(細胞分裂)能力を維持することである。
受精卵は、何かに分化する前にとにかく分裂を繰り返して細胞の数を増やす。また、胚の成長や成体の維持のためにどんどん新たな細胞を供給している幹細胞も、特定の組織への分化が決定した後は原則として分裂を行なわない。
実は神経では領域によってこの未分化状態の程度が異なり、胴体部の神経はかなり初期に細胞周期が止まるために増殖能力を失い、神経細胞への分化が進む。しかし頭部神経では、その時期にはまだ細胞周期が周り続けて未分化性を維持している。調べてみると、細胞周期を止めるはたらきをする遺伝子は胴部で発現が始まり、頭部側ではその遺伝子の発現を抑える仕組みがあった。
大ざっぱに言えば、何かの性質へと分化することから徹底的に逃げた結果として脳ができているように見えるのである。