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脳科学・神経科学を網羅的に学ぶ必読書

カンデル神経科学

カンデル神経科学は、脳科学・神経科学分野のバイブル的存在。2014年4月に日本語版が出版され、英語や医学用語が得意でない方にも大変読みやすくなりました。脳科学、神経科学について学ぶなら絶対に持っておきたいおすすめの一冊。

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動的平衡

分子生物学の時代は、1953年にジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックがDNAの二重らせん構造を解き明かしたことで幕を開けます。この発見の重要さは、生物がみずからコピーをつくるしくみがDNAの二重らせんに過不足なく内包されていることを明らかにしたことです。
分子生物学の立場からすれば、「生命とはどういうものか」という問いに対し、「自己複製するメカニズムである」と答えられる
生命とは“流れ”そのものであり、流れの中で私たちの身体は変化しつつ、一定の状態を保っている、ということです。つまり、生きているとはそういうことです。
動的平衡のいう生物のパーツは、それ自体が絶え間ない合成と分解を繰り返しています。ひとつの部品が多様な機能を担い、他の部品との間に相互作用を働かせ、しかも時々によって関係性が変わります。
まず人間の認識の特徴は、「絶え間なく動いているものを見ることができない」ということです。
時間を止めると動的平衡としての観点は失われてしまい、相互作用のあり方が見えなくなります。
人間の認識能力とは何かをさらに突き詰めて考えると、認識はすべて言葉によって行われていることがわかります。いわば、科学は「AはBであるに違いない」という言葉に合った実在が、自然の中にあるかどうかを見つける営みです。言葉の構造と実在の構造を照合することなのです。
動物学者のライアル・ワトソンは一匹の猿が芋洗い行動を始め、100匹が行うようになり、101匹目が芋洗いを始めたとき、全世界の猿が、その行動をするようになったと言いました。いわゆるシンクロニシティですが、そういうことは実際に起こっておらず、この話は創作でした。でも、科学はある種のシンクロニシティを解き明かそうとしています。東南アジアには“蛍の木”というのがあって、そこには100万匹くらいの蛍が集まります。蛍は完全に同調して明滅し、遠くからだとフラッシュを焚いているように見えます。蛍が互いを見ながら同調していたら、サッカー場のウェーブみたいに時差が起きます。でもそうはならない。
シンクロ現象は“AとB”という事態が同時に起きています。完全に独立したふたつが時間軸の上で、同じように動いているわけです。しかし、AとBが最初はランダムに違う位相で動いているとすれば、それはずれた運動です。でも、互いに動きの一部をフィードバックすることで徐々に位相を一致させていく運動を作り出せばどうなるでしょう。

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