自己複製(英: Self-replication)は、何らかの事物がそれ自身の複製を作る過程である。
細胞は適当な条件が整うと、細胞分裂による複製を行う。細胞分裂において、DNAが複製され、生殖に際してはそれが子に転送される。ウイルスも複製されるが、細胞に感染して細胞の持つ生殖機構に指令を出すことでのみ複製可能である。コンピュータウイルスは、コンピュータに備わっているハードウェアやソフトウェアを使って複製を作る。ミームは人間の精神や文化を一種の生殖機構として利用して複製を作る。
計算機科学における自己複製型プログラムとは、実行すると自分自身のコードを出力するプログラムである。これをクワイン(Quine)と呼ぶ。以下にPythonでの例を示す。
a='a=%s;print a%%`a`';print a%`a`
もっと瑣末な手法としては、入力されたデータ列をコピーするプログラムが考えられ、そのプログラムにプログラム自身をデータとして入力する。この場合、プログラムは実行コードとして扱われると同時に操作対象のデータとしても扱われる。生命体も含め、このような手法は自己複製システムでは典型的であり、プログラム自体に自身の記述を含める必要がないという点で単純である。
多くのプログラミング言語において、空のプログラムも正しいプログラムであり、そのようなプログラムはエラーも起こさないし、何も出力しない。つまり、その場合の出力はソースコードと同じであるため、このような空のプログラムが最も単純な自己複製であるとも言える。