海馬
海馬体(hippocampal formation)
海馬体
の中に、
海馬
と歯状回がある。
海馬
海馬は、もっとも発作閾値が低い脳部位。
海馬は、虚血や無酸素状態に非常に弱い。
海馬は、ほかの
大脳皮質(Cerebral cortex)
システムのモデルになっている。
海馬体の各部位を一方向につなぐ特徴的な回路「
三シナプス性回路(trisynaptic circuit)
」。
CA3領域
再帰回路は、連合記憶を可能にする基本構造(Kohonen, 1978)である。「パターンコンプリーション仮説」
海馬がどのようにして、パターン補完(情報の統合)とパターン分離(情報の分解)を行なっているかは、これまでのところ不明。
「パターン補完」と「パターン分離」
パターン補完
記憶を呼び起こすとき、たいていは何かがきっかけ。
例えば、電話で声を聞いただけで「○○さんからだ」とわかる。下手な文字でも読めるし、手前の樹木で一部が隠れていても看板の字がわかる。脳は「
情報の断片から記憶全体を復元する
」。これを「
パターン補完
」と呼ぶ。
パターン補完のプロセスはほぼ自動的に行われている。
過去の記憶が多ければ多いほど、また経験が豊かであればあるほど、うまくパターン補完ができるようになる。
パターン分離
記憶がさらに積み重なると、今までわからなかった微妙な違いに気づくようになり、「
見分けの能力
」が芽生えてくる。
例えば、双子の兄弟が区別でるようになり、マネとモネの絵やショパンとシューマンの曲も区別できるようになる。このように小さな差異を区別する能力を「
パターン分離
」と呼ぶ。
シナプス可塑性
シナプス可塑性とは、「
特定の刺激によって、シナプス結合の強さが強まったり弱まったりする
」現象のこと。
情報の統合と分解の制御
「
同時入力
」が繰り返されると、“
情報を統合する
“方向に組織構成が変化する。
「
時間差のある入力
」が繰り返されると、”
情報を分解する
“方向に組織構成が変化する。
日常の例としては、姿と声を同時に体験することが繰り返されると(同時入力)、声だけでその人を思い出すことができるようになる。
互いを交互に見比べることを繰り返すと(時間差入力)、双子の差がわかるようになる。
つまり、このシステムは、
入力の時間と情報数に依存するシステム
である。短い時間でたくさんの情報が入力された場合、それらを効率的に処理するために情報の統合を行うが、一定時間内の情報入力が少ない場合には、より詳しく認識しようとするのではないだろうか。
これは、生物としてこの世界で生き残るためには、非常に合理的なデザインになっていると思える。
生物にとっての至上命題とは、「
外部環境の変化に適応すること
」なのだろう。
海馬とは
海馬回路には、
多様な論理演算子
が存在している。
海馬回路は、AND素子などを用いた
並行分散型の情報処理
を行っている。
海馬は与えられた入力に応じて、”
自らシステム内部の構成及び機能を変化させる性質
“を持っている。
これが、人間が持つ外部環境の変化に適応する環境適応能力の源であり、学習を通じて、自らを変化させる学びそのものなのだと思う。
参考資料
認知地図
海馬の基礎知識
柔軟に変わる海馬の回路
海馬を究めよう
海馬の役割
第9回 全脳アーキテクチャ若手の会 勉強会 - 2015/10/14 19:30開始 - ニコニコ生放送
EC
DG
CA3
CA1
リカレントループ
長期増強(Long-term potentiation)
第3回全脳アーキテクチャ勉強会(山川)発表資料
from
Hiroshi Yamakawa
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パペッツの回路(Papez circuit)
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